あらすじ
世情騒然たる幕末江戸で剣客として名を成すべく、意気揚々と下谷・中西道場に入門した青年・千葉周作。だが、同門の高柳又四郎にコケにされ、軟派な遠山金四郎には罵倒され、すっかり意気消沈。そこは、持ち前の負けじ魂と親友の下っ引き・次郎吉に励まされ、発奮。なにより、憧れのお八重の視線に全身熱くなる思いだった。その周作に事件が襲いかかる!剣と恋、女流時代小説家の熱血デビュー作、書下し。
ISBN: 9784198914059ASIN: 4198914052
作品考察・見どころ
北辰一刀流の開祖として知られる千葉周作を、完成された剣豪ではなく、等身大の葛藤を抱えた一人の青年として瑞々しく描き出した点に本作の白眉があります。女流作家ならではの繊細な筆致で綴られるのは、単なる剣戟の記録ではありません。挫折に打ちひしがれ、恋に胸を焦がす周作の泥臭い人間味こそが、動乱の幕末という時代背景と共鳴し、読者の魂を熱く揺さぶるのです。 物語の核をなすのは、敗北から立ち上がる不屈の精神と、他者との絆がもたらす成長のドラマです。宿敵や友、そして愛する人との関わりの中で、未熟な熱情が真の強さへと昇華していく過程は、時代小説の枠を超えた普遍的な青春群像劇と言えるでしょう。書き下ろしデビュー作らしい疾走感と、命の輝きを肯定する情熱に満ちた、血の通った傑作です。










