野上照代
その朝は特に寒かった。玄関のあわただしい鈴の振れる音と戸を開ける音に混じって、何か言っている緊張した母の声で、私は目が覚めた...。日中戦争が始まった昭和十二年、治安維持法で検束された父の留守を守る母と二人の娘。黒澤明監督の右腕として活躍した著者が、亡き両親への鎮魂を込めて綴る。
野上 照代 は、日本の映画スクリプター。黒沢プロダクション・マネージャー。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。