あらすじ
1972年2月。日本赤軍のあさま山荘事件のテレビ中継が背後に流れる中、彼女の物語「撮影」は始まった --私は、撮りたいーー。
21歳になる山田奈央子の夢は、自分で映画を撮ること。だが、彼女が生きる1970年代は女性が映画監督どころか、映画制作に携わることすら難しい時代。かろうじて、ピンク映画の制作プロダクションに雑用係同然で雇われた彼女だが、「女に映画は撮れない」と言われる日々を送る。男社会の壁を前に、理想と現実の落差に諦めを感じていた奈央子の前に、ひとりの女優が現れる。それは運命の出会いだった。誰であろうとはっきりとものを言い、どこかミステリアスな雰囲気を纏う人気ピンク女優・霧島カオリ。導くかのように、奈央子の夢を後押ししてゆくカオリ。彼女に感化されるかのように前を向き、必ずいつか、カオリ主演の映画を撮ると誓う奈央子。二人は女性のプライドをかけ、男社会の旧い価値観と戦っていくーー。 衝撃のラストは必読!
ISBN: 9784120055829ASIN: 4120055825
作品考察・見どころ
村山由佳が描く本作は、あさま山荘事件の喧騒を背景に、重厚な男社会の壁に挑む女性たちの魂の叫びを鮮烈に刻んでいます。単なる成功譚ではなく、撮る側に立ちたい奈央子の渇望と女優カオリの孤独が深く共鳴し、肉体を超えた剥き出しの自己表現へと昇華されていく過程こそが、本作が放つ最大の文学的な白眉といえるでしょう。 既存の価値観を突き破り、自らの美学で世界を塗り替えようとする二人の姿は、現代の閉塞感をも打ち砕く圧倒的な熱量を放っています。衝撃のラストに待ち受ける凄まじい感情の爆発。頁をめくるごとに、表現することの残酷さと至高の悦びに、あなたの魂は激しく揺さぶられるはずです。


