駄菓子というノスタルジーを媒介に、少年少女の移ろう心を描く本作。第10巻では、ギャグの背後に潜んでいた切実な情愛や、大人へと脱皮する直前の危うい煌めきが最高潮に達します。コトヤマ先生の描く繊細な筆致は、単なるコメディの枠を超え、二度と戻らない夏への鎮魂歌のような文学的抒情を醸し出しています。
映像版では色彩と声が躍動感を補完していますが、原作漫画が持つ「余白」の美学は格別です。読者の想像力に委ねられた静寂の瞬間は、ページをめくる指を止めさせ、行間に流れる贅沢な時間を体感させます。アニメで物語の輪郭を楽しみ、原作の静謐な情感で魂を震わせる。その相乗効果こそが、本作を深く味わい尽くす唯一無二の道です。