あらすじ
ISBN: 9784087717785ASIN: 408771778X
「女優の子供って大変なんですか?想像もできない人生です」
小劇団を主宰する私は、昭和を代表する女優のひとり息子として生まれた。
大女優である実の母との葛藤を胸に、〈母への復讐の物語〉を演出する──。
テレビ、映画で活躍する著者による、10年ぶりの最新長編小説。
「小学校一年、初めての登校日、学校中から「ジョユー」と呼ばれたときに、自分を可愛がってくれているのは母ではなく「ジョユー」という生き物なのだと知った。幼い私にとっては酷く恐ろしいことであった。
その「ジョユー」という生き物と、私は初めて同じステージで対峙する」(本文より)
【著者略歴】
1968年4月東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科中退。小説家、俳優、映画監督。学生時代に俳優としてデビュー後、1990年『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞。1995年『となりのボブ・マーリィ』で映画監督としての活動も開始する。主な小説作品に『湾岸馬賊』『ずっと夜だったらいいのにね』『東京亜熱帯』『その役、あて書き』などがある。

日本のアングラ演劇の魂を血脈に宿し、知的な憂いと野性味を共存させる大鶴義丹は、スクリーンにおける稀代のストーリーテラーである。劇作家と名女優という至高の表現者を両親に持ち、幼少期から表現の深淵に触れてきた彼は、単なる二世俳優の枠を軽やかに飛び越え、自らの筆と感性で独自の地図を描き続けてきた。デビュー当初の瑞々しくナイーブな存在感から、時を経て滲み出るようになった円熟味、そして観客の予想を裏切る危うさを武器に、現在は作品の核を支える重層的な役どころを担っている。彼の特筆すべき強みは、演者としての枠に留まらず、監督や作家として物語の構造を俯瞰で見つめる視点を持っていることだ。その卓越した俯瞰力は、芝居に独特の間と奥行きをもたらし、一瞬の表情に何層もの文脈を投影させる。数多の作品群で見せる変幻自在なアプローチは、作り手の意図を繊細に汲み取りながらも、自身の美学を決して失わない孤高の精神の証左といえるだろう。伝統的な演劇的素養と現代的な感性を自在に往来するその佇まいは、日本映画界における貴重な接合点であり、これからも変容を続けることで我々に未知の情景を見せ続けてくれるに違いない。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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