あらすじ
「どんな場所も、あなたといれば日向だ」
互いに男の恋人がいるのに、止めようもなく惹かれあう逢衣(あい)と彩夏(さいか)。
女性同士、心と身体のおもむくままに求め合い、二人は一緒に暮らし始めた。芸能活動をしていた彩夏の人気に火が付き、仕事も恋も順調に回り始めた矢先、思わぬ試練が彼女たちを襲う。切ない決断を迫られ、二人が選んだ道は……。
今まで裸でいても、私は全然裸じゃなかった。常識も世間体も意識から鮮やかに取り払い、一糸纏わぬ姿で抱き合えば、こんなにも身体が軽いーー。
女性同士のひたむきで情熱的な恋を描いた、綿矢りさの衝撃作!
【著者プロフィール】
綿矢りさ(わたや・りさ)
1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。
ISBN: 9784087711899ASIN: 4087711897
作品考察・見どころ
綿矢りさが描くのは、理性を決壊させる生々しいまでの渇望です。本作は単なる同性愛の物語に留まらず、他者の肉体を通じて己の輪郭を再定義していく、残酷なまでに純粋な魂の交歓を描いています。言葉のひとつ一つが肌に突き刺さる鋭さを持ち、読者は彼女たちが陥る眩暈のような愛の迷宮へと引きずり込まれていくでしょう。 特筆すべきは、静謐な日常が熱狂へ変貌する圧倒的な筆致です。友情というレッテルを剥ぎ取った先に現れる、剥き出しの生の震え。社会的な枠組みを捨て、ただ一人を求め合う姿は、読む者の価値観を根底から揺さぶります。これは命が命を喰らうような、真に生きた愛の記録なのです。