あらすじ
「私たちは、友達じゃない」
25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣(あい)は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏(さいか)に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。
東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。
彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘うーー。
綿矢りさ堂々の新境地! 女性同士の鮮烈なる恋愛小説。
【著者プロフィール】
綿矢りさ(わたや・りさ)
1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。
ISBN: 9784087711882ASIN: 4087711889
作品考察・見どころ
綿矢りさが描くのは、道徳や理性を根底から揺さぶる、生身の人間が放つ強烈な引力です。本作の魅力は、単なる恋愛の枠組みを超え、身体と存在そのものに溺れていく過程を、あまりに生々しく美しく言語化した点にあります。触れ合う肌の熱、混じり合う吐息が、読者の五感を直接突き刺すような筆致で綴られています。 安寧を捨てて魂を剥き出しにする逢衣と彩夏の姿は、読者に「真に生きるとは何か」を問いかけます。抑圧の中で見つけた、逃れられない本能の煌めき。文字という媒体だからこそ到達できた、思考を介さない野生の情熱を、ぜひその身で体感してください。