あらすじ
だれも列からは逃れられない――。『銃』や『掏摸』『教団X』につらなる......中村文則の最高傑作誕生! 「君だって、列に並びたいから、並んでたんだろ?」 ある動物の研究者である「私」はいつのまにか「列」に並んでいた――。 先が見えず、最後尾も見えない。だれもが互いを疑い、時に軽蔑し、羨んでいる。 この現実に生きる私達に救いは訪れるのだろうか。 「あらゆるところに、ただ列が溢れているだけだ。何かの競争や比較から離れれば、今度はゆとりや心の平安の、競争や比較が始まることになる。私達はそうやって、互いを常に苦しめ続ける」(本文より)
ISBN: 9784065333396ASIN: 4065333393
作品考察・見どころ
中村文則が辿り着いた新たなる極致。目に見えない「列」に縛られた社会の深淵を、動物研究者という客観的な視点を持つ主人公を通し、冷徹かつ熱烈に描き出しています。人間の根源的な自意識や他者との比較から逃れられない業を浮き彫りにする筆致は、読む者の魂を激しく揺さぶります。 特筆すべきは、競争から降りたつもりでも、今度は「心の平安」という列に並ばざるを得ないという、逃げ場のない絶望の提示です。この不条理の中でどう生きるべきかを問いかける物語の強度は圧倒的です。著者の代表作を塗り替える凄み、その言葉の刃に貫かれてください。一読後、景色は一変するはずです。





