鳥谷コウ氏が描く本作の真髄は、美大生という表現者の卵たちが抱える、言葉にならない焦燥と渇愛の鮮やかな昇華にあります。波のように絶えず揺れ動く彼らの内面は、創作への情熱と恋情が複雑に絡み合い、読者の胸を強く打ちます。単なる青春群像劇の枠を超え、自らの魂を削り取ってキャンバスに向かう切実な生が、繊細な筆致によって詩情豊かに綴られているのが見事です。
特に第2巻では、互いの存在がもたらす光と影が深まり、自己の殻を破ろうとする静かなる葛藤が克明に描かれています。相手を通して自分自身の「色」を見出す過程は、あまりにも純粋で、かつ残酷なほど美しく、ページを捲るたびに心の奥底が激しく波打ちます。芸術と愛、その不可分な熱量を追体験させる、至高の文学的読書体験がここにあります。