あらすじ
直木賞受賞作『木挽町のあだ討ち』が実写映画化!
「自由」に生きることの真実を描く歴史長編。
弥兵衛が弟子入りをして間もなく、師の海保青陵は亡くなった。当代きっての儒学者で、経済にも精通し、江戸の世に「自由ナル」生き方を説いた青陵。京弓師の跡取りでありながら職人としては未熟で、算盤勘定や商いにばかり惹かれる16歳の弥兵衛に、その「商い」こそが世を変えると教え、「自由自在」に生きる道を示してくれた先生だった。最後の弟子となった弥兵衛は「遺灰は空に撒け」という師の遺言を胸に、兄弟子と連れ立って青陵ゆかりの人々を訪ね歩く。江戸の実弟、変わり者の絵師、川越の商人、秩父の家老、金沢の隠居、そして京ーー。青陵に人生を変えられた者たちが語り出す、亡き師の思いがけない過去、人知れぬ後悔とは。
序
第一章 賢弟
第二章 うそ八
第三章 大地球頭第一花
第四章 鰻の蒲焼
第五章 末弟子
終
ISBN: 9784041148679ASIN: 4041148677
作品考察・見どころ
永井紗耶子が描くのは、型を知り尽くした先にある真の解放です。師の背中を追う末弟子の瑞々しい葛藤を通じ、芸を継ぐことの神聖さと、自らの足で立つ峻厳さが突きつけられます。端正で血の通った筆致が、時代を超えて響く普遍的な求道者の姿を鮮やかに浮き彫りにしています。 「自由自在」という言葉の真意を紐解く旅は、読者の人生観を揺さぶる力を持っています。亡き師が遺した教えが、孤独な模索を経て血肉へと変わる瞬間。その文学的カタルシスこそが本作の白眉であり、静謐な物語の底に流れる熱い情熱に、読者は魂を揺さぶられるはずです。