二階堂幸氏が描く本作の本質は、現代社会が強いる「輝く女性像」への痛快なカウンターパンチにあります。ダイエットの失敗を背徳感に満ちた食欲で塗り替える意識の低さの肯定こそが、読者の魂を救う現代の救済と言えるでしょう。第2巻では新たな欠落を抱えた登場人物の加入により、孤独だった食卓が、自身の弱さを分かち合う生存戦略へと昇華されている点が実に見事です。
食欲という原始的な本能をこれほど愛おしく、滑稽に描く筆致は稀有です。紙面から立ち上る油と炭水化物の香りは、綺麗事にはない圧倒的な生の説得力を放っています。理想と現実の狭間で喘ぐすべての人に捧げられた、泥臭くも輝かしい人間賛歌をぜひ体感してください。