加藤綾子氏による本作は、単なる知育の枠を超え、時間という抽象概念をアリスの冒険という物語へ見事に昇華させています。ルイス・キャロル以来、常に時間に翻弄されてきたアリスを案内人に据えることで、読者は論理的な時計の仕組みを、幻想的な発見の連続として瑞々しく体験できるのです。
著者の筆致は、学びを驚きに満ちた発見へと変える魔法を宿しています。一分一秒がアリスの愛らしい日常として描かれ、実用性と芸術性が高次元で融合しています。子供の心に一生ものの時の輝きを刻み込む、知育絵本の域を脱した文学的な深みを湛えた傑作と言えるでしょう。