リンドグレーンの不朽の名作に宮崎吾朗監督の瑞々しい感性が命を吹き込んだ本作は、単なる児童書を超えた「魂の自立」の物語です。宿命的な対立を乗り越えようとする少女の絆は、大人たちの因習を打ち破る希望の光となります。親愛なる父との葛藤と和解、そして大自然の中で命を燃やす子供たちの野性味溢れる躍動感こそが、本作が放つ本質的な輝きに他なりません。
アニメ絵本という形式は、映像の圧倒的な色彩美を凝縮しつつ、読者の想像力を刺激する「静寂」を内包しています。動く映像では一瞬で過ぎ去る森の息遣いや細やかな心理描写を、自身のペースで深く味わえるのは本作ならではの醍醐味です。映像のダイナミズムと紙媒体の思索性が響き合い、物語の感動をより重層的で忘れがたい体験へと昇華させています。