ナンシー・プライスが綴る本書は、単なる楽曲目録の枠を超え、ヴィヴァルディという天才の魂を音の連なりから解読しようとする、極めて情熱的な音楽批評文学です。二十五の協奏曲と九のソナタを軸に、チェロという楽器が持つ深い憂いと躍動感を、鮮烈な文体で描き出しています。
読者は行間から、弦が震え、バロックの空気が震動する響きを直接感じることでしょう。楽譜の背後に隠された、理知的な構造と剥き出しの人間性の対立。それを浮き彫りにするプライスの鋭い洞察は、音楽家のみならず、表現の本質を求める全ての読者の心を、激しく揺さぶるに違いありません。