あらすじ
ISBN: 9784910956015ASIN: 4910956018
民族アーティストの絵や伝統的なシルクスクリーン印刷を用いるなど、世界一美しい本を作るといわれているインドのタラブックス。
この絵本もインドで印刷製本され、アーバン・フォークを受けつぐサンギータの躍動感あふれる美しく楽しい絵が踊る。
幼くして嫁いだサンギータが労働の合間に、「やりたいことを自由にやれ、なりたいようになれる」遠い世界の扉を開いてくれる
「これからの女」たちの絵を描きつづける。しなやかな想像力で厳しい現実と闘いつづける抵抗のアート本。
この本を手にすれば 絵が、本が、ひとりの人を、社会を、世界を、変えることができるかもしれないと、信じることができる(訳者:小林エリカ)

南インド映画の黄金期において、静謐な佇まいの奥に燃えるような情熱を秘めた唯一無二の存在として刻まれているのがサンギータです。彼女は単なるスクリーンの華であることを拒み、役柄の魂を丁寧に掬い上げることで、観客の深層心理に深く沈み込むような演技を披露してきました。子役としてキャリアの産声を上げ、純真な少女から複雑な葛藤を抱える大人の女性へと変貌を遂げていくその軌跡は、まさに一つの芸術が洗練されていく過程そのものでした。特に九十年代からゼロ年代にかけて、彼女が体現したキャラクターたちは、当時の社会が抱える揺らぎや女性の繊細な心理を鮮やかに代弁していました。彼女のキャリアを分析すると、商業的な成功に甘んじることなく、常に自らの限界を押し広げる実験的な役選びを続けてきたことが分かります。台詞に頼らずとも、瞳の揺らぎ一つで物語の余白を埋め、画面全体の温度を変えてしまう圧倒的な表現力こそが彼女の真骨頂と言えるでしょう。作品ごとに全く異なる色彩を放つその変幻自在なカメレオン俳優としての才能は、後進の表現者たちにとっても一つの到達点であり続けています。派手な技巧よりも真実味を、虚飾よりも純粋さを追求した彼女の足跡は、時を経るほどにその輝きを増し、映画という魔法が持つ根源的な力を私たちに語りかけてくるのです。