あらすじ
ISBN: 9784866162393ASIN: 4866162392
90年代の後半から始まる人間の心の研究領域の飛躍的な進化──脳の10年──を経て,神経科学は多くの真実を明らかにしてきた。本書は,そこから生まれた対人関係神経生物学をもとに,精神療法(サイコセラピー)のアート(治療技術)の科学性を解き明かし,古典的な心理理論を捉え直し,より科学的な精神療法のあり様を考えたアラン・N・ショアの大作である。
左脳の認知的共感から右脳の身体に基盤を持つ情動的共感へと舵を切ることをショアは求める。ショアは,右脳精神療法,現代アタッチメント理論,神経精神分析,調整理論など刺激的なテーマを思索し続け,実践し続けた。心理学者であり,精神療法の実践者であり,人間の心についての思想家でもあるショアの全貌がこの1冊に込められている。また,訳者による「アラン・ショア著作用語集」も本書には掲載される。本書は多くの臨床家に読んでいただきたい1冊である。

穏やかな佇まいの奥に、人間の多面性を鮮やかに宿す名優、それが小林隆という表現者です。日本のエンターテインメント界において、彼は単なる俳優という枠を超え、作品に温度と実存感を与える稀有な職人としての地位を確立しています。その原点は、伝説的劇団「東京サンシャインボーイズ」という熱狂の磁場にあります。三谷幸喜という才能と共に歩んだ舞台という戦場で、彼は緻密な計算と突発的な閃きを融合させる術を学びました。銀幕へと活動の場を広げてからも、市井に生きる人々の喜びや哀愁を、過剰な装飾を排して体現するそのスタイルは揺らぐことがありません。彼のキャリアを紐解けば、そこに浮かび上がるのは一貫した「誠実さ」という哲学です。ジャンルを問わず多岐にわたる作品に出演しながらも、その一役一役が物語の骨格を支える重要なピースとなっており、主役を静かに引き立てながら作品全体の質を底上げする触媒のような役割を担っています。特定の型に嵌ることなく、それでいて彼にしか出せない哀愁を漂わせる演技の深淵は、多くの監督や制作陣にとって代えのきかない信頼の証となりました。静謐でありながら誰よりも雄弁に物語を語るその背中は、日本の映像文化における「良心」として、これからも静かな感動を呼び起こし続けることでしょう。