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あらすじ
全身を岩で覆われた醜い姿の岩子と、花のように可憐で美しい咲子。 姉の岩子はその風貌から忌み嫌われ、家族にさえバケモノと虐げられてきた。 政略結婚のため、生物兵器と恐れられる帝国軍少佐・白蘭の元へ嫁ぐことになった岩子。 巷の噂とは違い、優しく慈しみ深い彼に心を惹かれていく。 岩子は、白蘭の温かさに触れ、身体中を覆っていた硬い岩が剥がれ始め 美しい乙女へと変容していく。 しかし、岩子の幸せを妬む妹・咲子と、岩子を利用しようとたくらむ両親の 魔の手が忍び寄る...。
ISBN: 9784865182880ASIN: 4865182888
作品考察・見どころ
遠山えま氏が描く本作の真髄は、単なるシンデレラストーリーに留まらない「魂の脱皮」という深遠なテーマにあります。岩に覆われた醜い外見という強固な自己防衛が、真実の愛に触れて剥がれ落ちていく過程は、自己肯定感の獲得という心理的プロセスを見事に可視化しています。孤独という名の呪いを溶かすのは、冷徹な軍人が見せる無垢な情愛であり、その温度差が読者の胸を熱く焦がします。 物語は、純真な愛による変容を美しく描き出す一方で、醜悪なエゴを剥き出しにする家族との対比を鋭く突きつけます。自分を虐げてきた者たちの影を振り払い、岩肌の下に隠された真の美しさが露わになる瞬間は、抑圧された魂が解放される文学的快感に満ちています。過酷な運命の中で自らの輝きを信じ抜く強靭な意志の力こそが、本作が放つ抗いがたい魅力なのです。
