あらすじ
人生はずっと続くから。
つかの間の休息を。
山のふもとに立つ「ペンション・ワケアッテ」。タクシー運転手によると、「ワケアリ」のオーナーが経営しているらしい。不安や秘密を抱えながらペンションを訪れる人々だったが、大自然に囲まれた静けさの中、本当の自分の気持ちに気が付き、明日への一歩を踏み出していく。
あくせくした毎日からちょっとだけ抜け出し、「今」を生きる大切さを噛みしめたくなる、温かな連作短編集。
2024年のブリティッシュ・ブックアワードにノミネートされ、世界40カ国で翻訳が進行中の『森崎書店の日々』や「純喫茶トルンカ」シリーズなど、世界中で注目される著者が描く、「ワケアリ」の人々が「なりたい自分」と「生きたい未来」を見つけ出していく、明日への希望に満ちたヒーリング小説。
ISBN: 9784591188521ASIN: 4591188523
作品考察・見どころ
八木沢里志氏の筆致は、高原の澄んだ空気のように、読者の疲れた心に深く染み渡ります。本作の核にあるのは、社会的役割を剥ぎ取られた個の魂が、大自然の静寂の中で自己を再定義する再生のプロセスです。洗練された言葉選びが、登場人物たちの抱える「ワケアリ」の傷を、未来へ踏み出すための尊い糧へと見事に昇華させています。 日常から抜け出した先で見つけるのは、劇的な解決ではなく、自分への静かな肯定です。私たちは何者であってもいい。その慈愛に満ちたメッセージは、孤独に寄り添う光となって読了後も心に灯り続けます。自分を見失いそうな現代人へ贈る、魂の処方箋とも呼ぶべき至高のヒーリング小説です。