あらすじ
ISBN: 9784862465924ASIN: 4862465927
『オッペンハイマー』のすべての謎が今、解き放たれる。
ノーランが脚本、監督を担当し、IMAXカメラで撮影された『オッペンハイマー』は、世界を救おうとして原爆の悲劇を引きおこしただけでなく、すべてを破壊しかねない危険を冒した、謎めいたひとりの人物を追うパラドックスに満ちた息を呑むスリラーだ。
プロデューサーはエマ・トーマス、チャールズ・ローヴェン、そしてクリストファー・ノーラン。
オッペンハイマー役はキリアン・マーフィーが、妻のキティ役はエミリー・ブラントが務め、オスカー俳優のマット・デイモンはレズリー・グローヴス将軍を、ロバート・ダウニー・Jr.はルイス・ストローズを演じる。
本書では、『オッペンハイマー』の脚本段階から資料集め、美術セット建設、撮影、完成までの道のりをマーフィー、ブラント、ダウニー・Jr.などの主要キャスト、監督、スタッフの膨大なインタビューと図版を交えて紹介する。
本書は、世界を破滅へと導きかねない力を生み出した科学者の孤独な魂に肉薄する、知的興奮に満ちた一冊です。ノーラン監督が描いた「救済と破壊」のパラドックスが、膨大な証言を通じて重層的に紐解かれています。文字という静謐な媒体で綴られる彼らの苦悩は、一人の天才が背負った倫理的葛藤の深淵を私たちに突きつけます。 IMAXの映像体験を補完する本書の真髄は、スクリーンに映らない思考の軌跡を可視化した点にあります。キャストやスタッフが役の核心へと至るプロセスを知ることで、映像はより一層の切実さを帯びて迫ってくるでしょう。映画と本書を往復する体験こそが、オッペンハイマーという巨大な謎を解き明かす唯一の鍵となるはずです。

クリストファー・ノーランは、難解な概念を圧倒的なスケールのエンターテインメントへと昇華させ、現代映画の定義を根底から塗り替えた21世紀最高の巨匠です。2024年にナイトの叙勲を受け、全米監督協会会長にも選出された彼は、実写至上主義とIMAXへのこだわりを武器に、デジタル全盛の時代において「劇場体験」の聖域を守り抜く孤高の守護者といえるでしょう。ロンドンとイリノイで育ち、大学で英文学を学んだ背景を持つノーランは、自主制作の『フォロイング』からキャリアを歩み始めました。時間の逆行を描いた『メメント』で世界を驚嘆させ、『ダークナイト』三部作ではヒーロー映画に重厚な倫理観を注入し、ジャンルの限界を突破しました。彼のキャリア統計を紐解くと、携わった37作品の平均評価は★7.1という驚異的な高水準を維持しています。これは、ドラマ、アクション、スリラーといった多岐にわたるジャンルを横断しながらも、時間や記憶といった形而上学的な問いを精密な数学的構造で描く、稀有な「理知的な演出力」が評価されている証です。『オッペンハイマー』で念願のアカデミー賞を制した後も、次作『The Odyssey』に向けて更なる映像革命を企てる彼は、映画という魔法を科学の如き情熱で追求し、世界中の観客の知的好奇心を刺激し続けています。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。