沢地久枝
啄木に愛され、啄木を愛し、そしてその文学者としての才能をだれよりも早くだれよりもつよく信じた人間として、節子はわき目もふらずに雪道を急ぐ。凛冽たる雪国の寒気が、節子の心の焔をさらに熱く燃えたたせ、恋の成就への確信をいっそうつよめずにはいない。啄木の妻としての人生は、この雪の風景からはじまった。
澤地 久枝 は、日本のノンフィクション作家、社会運動家。東京都港区青山出身。