この子を殘して
あらすじ
ISBN: 9784822805067ASIN: 4822805069
原爆を被け2児を残して、死に臨む永井隆―。敗戦後60年のいま戦争と平和、原爆投下を問う。
死の淵に立ちながら、遺される幼き兄妹へ向けて綴られた本書は、単なる手記の枠を超えた「究極の愛の遺言」です。原子野に散った妻への想いと、科学者としての理知的な視点、そして敬虔な信仰心が交錯する文体は、凄絶なまでの美しさを湛えています。絶望の極致にあってもなお、憎しみではなく「如己愛人」の精神を説くその筆致には、人間の尊厳を信じ抜く強固な意志が宿っています。 平和とは何かという普遍的な問いを、自らの命を削りながら言葉に昇華させた著者の魂に触れるとき、読者は深い祈りにも似た感動に包まれるでしょう。瓦礫の中から明日を見つめる清冽な眼差しは、時代を超えて私たちの心に「生きることの根源的な輝き」を鮮烈に焼き付けます。今こそ読み継がれるべき、慈愛と希望に満ちた不朽の名作です。