あらすじ
ISBN: 9784794215673ASIN: 4794215673
1950年代にマンガ家として、60年代にはアニメーターとして活躍した著者が、盟友手塚治虫と、その時代を回想する。月刊児童誌全盛時代のマンガ家たちの横顔。「悪書追放運動」のてんまつ。映画界からマンガに転身したアニメーターたち。『鉄腕アトム』にはじまる初期のTVアニメはどのように製作されたのか。『0戦はやと』や『マグマ大使』誕生のいきさつなどを記す。本書は、戦前からの映画人である筆者が綴った、日本アニメーション史でもある。
日本の特撮・アニメーション黎明期において、壮大な空想の翼を広げ、無から有を生み出し続けた不世出のクリエイター、それが鷺巣富雄です。彼は単なる書き手の枠に留まらず、視覚効果と物語を融合させる稀代のビジョナリーとして、後世の表現者たちに計り知れない影響を与え続けてきました。東宝で研鑽を積み、アニメーションの深淵と実写のダイナミズムをその身に刻んだ彼は、自らピー・プロダクションを設立。そこから放たれた数々の独創的な作品群は、当時の子供たちの魂を激しく揺さぶり、日本独自のヒーロー像やファンタジーの原風景を確立するに至ります。彼の筆致は常に画としての力強さを内包しており、文字としての脚本を超えた、立体的かつ情熱的な世界観の構築にその真髄がありました。キャリアを俯瞰すると、既存の枠組みに安住することなく、時代劇と特撮、あるいは叙事詩的な物語を自在に行き来する柔軟な創造性が浮かび上がります。その一貫した挑戦心は、単なる娯楽の提供ではなく、観る者の想像力を極限まで拡張させるための真摯な試みであったと言えるでしょう。技術的な制約が多かった時代に、純粋なアイデアの力で限界を突破し続けた彼の軌跡は、現代の映像文化においてもなお、物語の原初的な輝きを放ち続けています。先駆者としての誇りと、飽くなき探究心が結実したその作品群は、日本のエンターテインメント史が世界に誇るべき、瑞々しい知性の遺産なのです。