あらすじ
きみを守ることが罪なのかーー。
攫われた巫女エスタの捜索を、従者リルとともに続ける騎士団長レルファン。
その間も、王宮では王位継承者を狙った毒殺事件が相次ぎ、レルファンはその対応にも追われていた。摑んでは消える解決への糸口。
やがて二つの事件が交錯し、王国の歴史と神話に秘められた暗部が明らかになっていく。
大いなる陰謀に巻き込まれた、レルファンとエスタの運命は……。
深い余韻を残す王宮ロマンス、万感の終幕 。
文庫書き下ろし。
ISBN: 9784569905327ASIN: 4569905323
作品考察・見どころ
町田そのこが描く静謐かつ熱烈な筆致は、本作において王宮ロマンスという枠組みを軽やかに超え、人間の業と愛の深淵に迫る一級の文学へと昇華されています。騎士レルファンが抱く、守ることへの渇望と、それが罪へと転じる瞬間の葛藤。そこには、著者が得意とする「痛みを抱えながら生きる者への慈愛」が色濃く反映されており、読者の魂を激しく揺さぶります。 物語の核となるのは、王国の神話に隠された血塗られた暗部と、運命に抗う者たちの祈りです。全ての伏線が収束する終盤、残酷な真実の中から浮かび上がる個の尊厳は、正統派ファンタジーとしての品格と現代的な視座を併せ持っています。ページをめくるごとに深まる謎と情愛の連鎖は、読後の心に消えない残り火を灯し、まさに万感の結末を約束してくれるでしょう。