あらすじ
人は皆、出会ったものでできている。金も夢も友もない上京したての大学生・暖平。ひょんなことから落語研究会に入ることになり、“背負亭(しょいてい)こたつ”として高座に立つ羽目に!?累計100万部突破の名手がおくる、新しい自分に出会える人生応援小説。あらすじ大学進学を機に群馬から上京したばかりの門田暖平は一人、新品のこたつを亀の甲羅のように背負い佇んでいた。配送料が払えず自力で下宿に持ち帰ろうと思ったが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことができない……。途方にくれる暖平の前に、一台のワゴンが停まる。乗っていたのは、入学式当日、構内で落語を演っていた落語研究会の部長・忽那碧だった。落研に誘われるが、金もなく、コミュニケーションにも自信がなく、四年間バイト生活をして過ごすつもりだと語る暖平。「必要なのは扇子一本。あとは座布団さえあればどこでもできる」という碧の言葉に背中を押され、暖平の人生が大きく動き出すーー。・「面白さ」「上手さ」は一つじゃない・明日が来るのが楽しみになるくらい準備する・徹底的に同じ型を踏襲し、初めて個性は爆発する・追い詰められてはじめて、人は真価を発揮する・どんな時も楽しむ。自分がやりたいことをやる
作品考察・見どころ
喜多川泰が描く本作の真髄は、落語という「型」を借りて、現代人が忘れがちな自己形成の作法を再定義する点にあります。不器用な自意識を抱えた青年が、出会いを通じてそれを芸という翼に変えていく過程は圧巻。徹底した模倣の先にこそ真の個性が宿るという真理は、何者かになりたいと願う読者の魂を激しく揺さぶります。 扇子一本で宇宙を創り出す落語の精神は、自らの人生を肯定するための最強の武器となります。窮地でこそ真価を放ち、準備に命を懸ける。本作は読者の日常を一世一代の高座へと変貌させる力を持っています。読了後、あなたの心には爽快な出囃子が鳴り響き、新しい自分を演じたくなる衝動が突き上げてくるはずです。