あらすじ
自分の容姿に自信がもてないミラ、クラスの人気者カオリ、「わたし」というしがらみに悩む秋穂、そして誰とも交わろうとしないシズ。同じ高校の写真部に所属する4人は、性格も、好きなカメラも違うけれど、それぞれのコンプレックスと戦っていた。カメラを構えると忘れられる悩み。しかし、ファインダーを覗く先に不可解な謎が広がっていて...。高校の写真部を舞台に、女子高生たちが構えるカメラに写るのはともだち、コンプレックス、未来、そしてミステリー。
ISBN: 9784334928216ASIN: 4334928218
作品考察・見どころ
相沢沙呼という作家は、青春の残酷さと優しさを最も鋭利な感性で切り取る魔術師です。本作の真髄は、レンズという境界線を通じて「自分自身」という不確かな存在を再定義する過程にあります。ファインダー越しの景色は、被写体への憧憬と自己への嫌悪が混ざり合う、震えるほど繊細な少女たちの内面の鏡なのです。 謎解きが導くのは事件の真相以上に、彼女たちのこじれた自意識の解放です。ピントが合う瞬間に立ち現れるのは、他者との距離感や、未来への光と影。この物語は、傷つきやすい魂がカメラという武器を手に、一瞬の真実を掴み取ろうとする祈りそのものと言えるでしょう。一頁めくるごとに、あなたの心にも鮮烈なシャッター音が響き渡るはずです。