あらすじ
心の不思議にせまる長岡ミステリーの醍醐味! 窮地に陥った時、人は何をするのか?
ーー長岡弘樹が紡ぎ出す短編には、考え抜かれ、磨き上げられた短さのなかに奥深さがある。--宇田川拓也(ときわ書房本店)
生活のなかで、ふとした心の隙間に忍び込む殺意や悪意が、蟻や、鳥、魚、犬、プラナリアなど、さまざまな生物と絡んで事件が発生する。
のぞきや、泥棒、殺人など、犯罪の背後にあるドラマを描き、謎解きだけではないミステリーの魅力を放つ。
その根底には温かなまなざしと伏線のしかけがめぐらされている。心の揺れや、ゆがみが引き起こす犯罪&どんでん返しの妙を堪能する8篇の極上ミステリー。
仕事中の刑事が給油に立ち寄ったガソリンスタンドで、勤務していたのは外国人だった。そのとき、聞き慣れない鳥の鳴き声がした。ある盗難事件の捜査過程で、その外国人従業員の友人が浮かんだ。彼は逮捕されたが、違和感が残る。その後、真犯人が判明したが……。(「巨鳥の影」)
隣室のキャバ嬢の部屋にそっと忍び込む。ときどき鍵をかけ忘れると知っていた。内気な学生のペットは蟻だけ。柑橘系の彼女の香りを吸い込む。そのとき大きな地震が起き、彼女が戻ってきた。そして蟻を、自分もペットに借りたいと彼女が訪れて…。(「水無月の蟻」)他、ミステリ短編の醍醐味を堪能する6篇収録。
紀伊國屋書店 福岡本店 宗岡敦子氏から届いた本書の感想です。
どの物語も、日常で気がつかないような、
些細な出来事の中に、事件解決へのヒントが隠されていて、
とても驚きました!
人と生き物が、
絶妙なタイミングで交錯する事で生まれた、
違和感から導かれていくラストが、
とにかくすごすぎます!
その衝撃の結末に、
何度も震えました…!
やはり、長岡先生の物語は、
緻密で細やかなミステリの布石が打たれた、
一線を画す面白さだと、
改めて実感いたしました。
作品考察・見どころ
長岡弘樹氏が描くミステリーの真髄は、日常の裂け目に潜む「心の揺らぎ」を、生物という鏡を通して映し出す手腕にあります。本作は、蟻や鳥といった生き物たちの生態が、人間の悪意や孤独と不気味に共鳴し、予想だにしない真実へと読者を誘います。単なる謎解きを超え、私たちの隣に潜む狂気や悲哀を浮き彫りにする文学的深度は、まさに圧巻の一言に尽きます。 緻密に計算された伏線の先に待つどんでん返しは、冷徹な衝撃と共に、著者の温かな眼差しがもたらす深い余韻を残します。窮地に立たされた人間が選ぶ、あまりにも純粋で歪な選択。ページをめくるたびに、あなたの日常もまた、奇妙な陰影を帯びていくことでしょう。これこそ、短編ミステリーの最高到達点です。



