あらすじ
『スワン』(日本推理作家協会賞長篇受賞作 第41回吉川英治文学賞新人賞受賞、直木賞候作作)、 『おれたちのうたを歌え』(直木賞候補作)など、一筋縄でくくれないエンタテイメント作品の書き手・呉勝浩の放つ警察小説。
神奈川県警と警視庁のはぐれ刑事たちが
手を組んでせまる“巨悪の闇”とは!
”謎解きと人間ドラマが交差する骨太警察小説!”
文芸評論家・縄田一男氏が絶賛!
陣馬山で発見された白骨死体の傍らにはマトリョーシカが埋められていた。被害者は5年前、行方不明とされていた男だった。神奈川県警刑事・彦坂は、青ざめる。その男こそ、5年前、組織ぐるみで隠蔽した事件の関係者だったのだ。県警に激震が走るさなか、八王子で、第二の惨殺死体が発見される。現場には第一の事件との関連性を示すマトリョーシカが残されていた。事件そのものを隠したい神奈川県警と、反目し合う警視庁の捜査班。組織の論理がもたらす闇に、はぐれ刑事たちが誇りをかけて、合同捜査を始める。
異色の警察小説!
ISBN: 9784198947408ASIN: 4198947406
作品考察・見どころ
呉勝浩氏が描く本作の真髄は、重厚な筆致で暴かれる人間の業と、幾重にも重なる嘘の皮を剥ぎ取っていくスリリングな心理戦にあります。剥いでも剥いでも現れる人間の醜悪さと気高さの相克は、まさにマトリョーシカのような入れ子構造を成しており、読者の倫理観を激しく揺さぶります。 組織のはぐれ者たちが火花を散らすバディ描写も白眉です。孤独な魂が衝突し、共鳴する過程で浮き彫りになるのは、法と正義の狭間で藻掻く者たちの剥き出しの生です。冷徹なリアリズムと熱い激情が同居するこの傑作は、警察小説の枠組みを超え、深淵な人間ドラマとして読者の心に深く突き刺さるでしょう。