あらすじ
恋愛や生殖を強制する世間になじめず、ネットで見つけた夫と性行為なしの婚姻生活を送る34歳の奈月。夫とともに田舎の親戚の家を訪れた彼女は、いとこの由宇に再会する。小学生の頃、自らを魔法少女と宇宙人だと信じていた二人は秘密の恋人同士だった。だが大人になった由宇は「地球星人」の常識に洗脳されかけていて……。芥川賞受賞作『コンビニ人間』を超える驚愕をもたらす衝撃的傑作。
ISBN: 9784101257136ASIN: 4101257132
作品考察・見どころ
村田沙耶香が描くのは、人間を繁殖のための部品と見なす社会という名の巨大な工場の恐怖です。前作を凌駕する冷徹な筆致は、私たちが当たり前だと信じる家族や性、生殖の常識を徹底的に解体し、読者の価値観を根底から揺さぶります。生理的な嫌悪感の先にあるのは、既存のシステムから逸脱せざるを得ない孤独な魂への、これ以上ないほど純粋で過激な賛歌です。 自らを宇宙人と信じる主人公たちの振る舞いは、過酷な現実を生き延びるための切実な生存戦略に他なりません。肉体という檻を突破し、真の自由を求める彼らの咆哮は、マジョリティという安寧に浸る私たちの喉元に鋭利な刃を突きつけます。物語が加速し、理性が崩壊していく終盤の衝撃は、読み手の人生観を永遠に変えてしまうほどの破壊力に満ちた、究極の文芸体験となるでしょう。