あらすじ
猫と怪異とロマンスが彩る珠玉の短編集
スランプ中の作家・西蓮寺。ある日、屋敷の庭へ曜日ごとに決まった猫がやってくることに気づいて…?(「月曜日の猫は」)
“幽霊が出る”というグラドストーン卿の館にやってきた青年・ノーマンは…大ヒットシリーズ「うるわしの英国シリーズ」幻の番外編。(「グラドストーン家の幽霊」)
他収録作品:「秘密の想い人」/「M夫人の幽霊」/「夜の逍遙」/「森羅万象を司る宮の姫君」
幻想的で風雅なときめきあふれる物語の名手・波津彬子、珠玉の短編全6編を収録!
【編集担当からのおすすめ情報】
画業45周年を迎えた波津彬子先生。
心寄せずにはいられない猫たち、切なく美しい余韻を残す怪談…唯一無二の作品世界を堪能できる、待望の短編集が登場!
美麗描き下ろしイラストのカバーデザインも端正で、ぜひお手にとっていただきたい一冊ができました。
どうぞ珠玉の短編集をお楽しみください。
ISBN: 9784098733651ASIN: 409873365X
作品考察・見どころ
波津彬子が描く世界は、現実と幻想の境界が淡い霧のように溶け合う、比類なき幽玄の美に満ちています。本作の白眉は、猫という存在を単なる愛玩対象ではなく、異界と現世を繋ぐ「静かなる導き手」として捉えた文学的感性です。画業四十五周年の円熟が生み出す、余白にさえ情緒が宿る筆致は、読者を優雅な白昼夢へと誘います。 孤独な魂が怪異と触れ合う瞬間に生まれる、震えるような抒情と救済。そこに通底するのは、目に見えぬものへの畏敬と、過ぎ去りし時への慈しみです。端正に綴られる物語は、読後の心に「美しい秘密」を共有したかのような、甘美で切ない余韻を刻みつけます。これこそが、大人が繙くべき極上の幻想文学と呼ぶにふさわしい逸品です。