あらすじ
【第26回島清恋愛文学賞受賞作】
「私たちは、友達じゃない」
25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣(あい)は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏(さいか)に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。
東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。
彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘うーー。
綿矢りさ堂々の新境地! 女性同士の鮮烈なる恋愛小説。
【著者プロフィール】
綿矢りさ(わたや・りさ)
1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。
ISBN: 9784087443950ASIN: 4087443957
作品考察・見どころ
綿矢りさが描くのは、社会的な枠組みを暴力的なまでの情熱でなぎ倒していく魂と肉体の共鳴です。著者の鋭利な感性が、肌の熱や震える吐息を執拗なまでに克明に写し出しており、読者は活字を追うごとに、二人が陥る甘美で危うい迷宮へと深く引きずり込まれていきます。 本作の真髄は、運命という言葉さえ生ぬるい「生の衝動」にあります。日常が音を立てて崩れ去る瞬間や、個の境界が溶け合う官能的な描写は、文芸界の旗手が到達した圧巻の新境地です。理屈を超えた一途な愛の形に、あなたの価値観は根底から揺さぶられるでしょう。