清野とおるという異能の観察者が、壇蜜という底知れぬ深淵を執拗に覗き込む。本作の本質は、記号化された「壇蜜」という偶像を一度解体し、その奥底に潜む一人の人間としての震えを、清野氏特有の歪んだ慈しみをもって再構築する点にあります。徹底したルポルタージュでありながら、そこには既存のノンフィクションを超えた文学的な叙情が立ち込めています。
行間に漂うのは、社会の視線に晒され続ける者の孤独と、それすらも飼いならす高潔な精神です。読者は、清野氏の偏愛に満ちた筆致を通じて、虚飾を剥ぎ取られた人間の生々しい鼓動を体感することになるでしょう。前作以上に研ぎ澄まされた二人の魂の交錯は、現代を生きる私たちの心に、美しくも残酷な余韻を鮮烈に刻み込みます。