この一冊は、幼児向けの遊戯書という枠を超え、しずくちゃんたちの住む瑞々しい世界を身体感覚で追体験するための地図です。各所に散りばめられた鮮やかな色彩は雨上がりの煌めきそのものであり、迷路を彷徨うプロセスは、未知なるものへの無垢な好奇心を優しく全肯定してくれます。
提示されるのは、正解へ辿り着くこと以上に、道中で出会う仲間や変化する風景を慈しむという美学です。自らの指先で物語を能動的に切り拓く体験は、まさに原初的な文芸体験と言えるでしょう。この小さな迷路の先には、世界に対する無限の信頼と歓喜が溢れています。