荒川三喜夫
超人的な嗅覚を持つ元調香師の花村牡丹。彼女には「犯罪臭」という、犯罪者が醸し出す独特の匂いを嗅ぎ取る特殊能力があった。能力を買われた牡丹は刑事の黛とタッグを組み、嗅覚を元に次々と難事件を解決していく…!しかし、その能力には代償があって…!?新感覚・本格“嗅覚”バディーサスペンス!!
本作の真髄は、不可視の匂いを凄まじい筆致で読者の鼻腔に訴えかける点にあります。単なる特殊能力モノに留まらず、調香の美と犯罪者の悪臭の対比を通じて、人間の業を鮮やかに描き出しています。文字から匂いを立ち昇らせる、文学ならではの共感覚的表現はまさに圧巻。香りの奥に潜む「真実」を暴く過程は、官能的ですらあります。 能力の代償という十字架を背負う牡丹と、彼女を支える黛の絆は、単なる共助を超えた切実さを帯びています。真実に近づくほど削られる牡丹の命は、読者の胸を締め付け、サスペンスとしての純度を極限まで高めています。生理的な感覚こそが欺瞞を暴くという、野生的かつ高潔な哲学が貫かれた珠玉の一冊です。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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