本作の真髄は、ファンの「正史への愛」が孕む狂信的な献身を描いた点にあります。惨劇を回避するのではなく、愛する物語を守るために凄惨な戦争へと歴史を導こうとする主人公の倒錯した正義感は、読者自身の作品愛をも鋭く問い直します。歴史という神話を完遂させようとする孤独な闘争が、宇宙世紀の重厚さと見事に共鳴しています。
映像版では壮大な世界観が可視化されていますが、原作の妙味は主人公の切実なモノローグにあります。あえて悲劇を肯定する葛藤は活字でこそ真実味を増し、両メディアを併せて味わうことで、彼女の使命感がより多角的に浮き彫りになります。物語を正しく看取るための、美しくも壮絶な挑戦をぜひ目撃してください。