桑原水菜
永倉萌絵が勤める亀石発掘派遣事務所には、絶対的エースがいる。世紀の発見を繰り返し、天才発掘師と名高い西原無量、その人だ。奈良の古墳から出土した宝玉をめぐり、無量たちの周囲に暗い影が迫る!
桑原水菜が描く本作の真髄は、冷たい土の下に眠る死者の情念を掘り起こす、魂の対話にあります。考古学という学問に、著者特有の濃密な心理描写と幻想的な美学が融合し、読者は悠久の時を越えて響く古代の鼓動を肌で感じることになるでしょう。 主人公・西原無量の孤独な佇まいは、物語に文学的な深みを与えています。睦月ムンクによるコミカライズ版は、小説の端正な文体から立ち昇るイメージを、美麗な筆致で見事に補完しました。文字による内面描写と視覚的な説得力が共鳴し、読書体験はより鮮烈なものへと昇華されるのです。