吉田秋生が描く真髄は、鎌倉の四季と共に、血縁を超えた家族の絆を慈しむように紡ぐ点にあります。第八巻では、盛夏の陽光が少女たちの揺れる内面を鮮明に照射します。日常の些細な断片から葛藤を掬い上げる筆致は圧巻であり、行間に漂う静かな熱情が読者の魂に深く響きます。
ゴミ箱の中の秘密という卑近な影から、連綿と続く縁という壮大なテーマを導き出す手腕は見事です。言葉にできない不安を分かち合い、深化していく姉妹の姿は、読む者の心に忘れがたい光を投げかけます。繊細かつ力強い、吉田文学の真骨頂たる人間讃歌を堪能できる一冊です。