本作は、北朝鮮拉致被害者の家族会前代表・飯塚繁雄氏が、最愛の妹への断ち切れぬ想いを綴った渾身の手記です。単なる記録文学を超え、国家という壁に抗い続ける個人の尊厳と、引き裂かれた家族の絆を鮮烈に描き出しています。行間に滲む著者の慟哭と、妹の面影を追う切実な筆致は、読む者の魂を激しく揺さぶり、無念の歳月の重みを突きつけます。
映像作品が事件の緊迫感を克明に伝える一方で、原作にはテキストならではの「内省的な深み」が宿っています。映像で描かれた家族の姿は、本書を紐解くことで著者の息遣いや心の震えと重なり、より立体的で痛切な物語として結実します。映像と書籍の相乗効果によって、風化させてはならない真実が、より深い感動と共に刻まれることでしょう。