あらすじ
1940年、フランス領モロッコ、カサブランカ。アメリカへの亡命を図る人々であふれるこの地でバーを経営するリックの店に、ある夜、地下抵抗運動のリーダー、ラズロが妻イルザを伴って現れた。リックとイルザはかつてパリで愛し合い、一緒にアメリカ亡命を誓い合った仲だった。しかし、約束の時間に彼女は現れず、そのまま消息がわからなくなっていた。イルザとの再会にリックの心は揺れ、イルザもまた、リックへの思いが募っていく...。1942年、マイケル・カーティス監督、ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン主演によるアメリカ映画の傑作の完全ノベライゼーション。
ISBN: 9784808011147ASIN: 480801114X
映画・ドラマ版との違い・考察
本書は単なるメロドラマの枠を超え、戦時下という極限状態で「個人の愛」と「大義への献身」が激突する魂の相克を描いています。虚無感に支配された男リックが、再会という運命を経て再び情熱の炎を灯す過程は、読む者の胸を激しく揺さぶる文学的カタルシスに満ちています。 映画版がボガートの寡黙な表情やバーグマンの瞳で語った余白を、本書は緻密な心理描写で埋め尽くします。映像では捉えきれない、降りしきるパリの雨の冷たさや、去りゆく者の背負う孤独の深淵は、テキストならではの芳醇な響きを持って迫ります。スクリーンの中の伝説を、血の通った人間ドラマへと昇華させる極上の読書体験を約束します。