自然災害の猛威にさらされた品川を舞台に、柴田よしきは「再生」という困難なテーマを鮮やかに描き出します。宿屋が壊滅的な被害を受ける中で、主人公やすが新たな修行の地で見出すのは、絶望を希望へと変える料理の真髄です。過酷な運命に翻弄されながらも、一歩を踏み出す人々の逞しさが、香り立つような筆致で綴られています。
本作の見どころは、動乱の江戸を生き抜く少女の精神的な自立と、言葉では尽くせない食への情熱です。逆境を糧に成長するやすの姿は、現代を生きる私たちの心にも深く共鳴します。職人としての矜持と、人々に寄り添う慈愛が溶け合った物語の深淵を、ぜひその舌と心で味わい尽くしてください。