あらすじ
ISBN: 9784620328188ASIN: 4620328189
政治から芸能まで、普段の生活に「違和感」のスパイスを添えて見えてきた「真実」とは?毎日新聞「日曜くらぶ」で人気の辛口コラム「松尾貴史のちょっと違和感」を約1年5カ月ぶりに書籍化。前作『人は違和感が9割』に続く第5弾。

変幻自在な知性が宿る、唯一無二のバイプレーヤー。松尾貴史という稀代の表現者は、単なる俳優という枠組みを軽やかに超越した存在である。かつて「キッチュ」の名で世に衝撃を与えた鋭い風刺の精神は、年月を経て熟成を重ねることで、スクリーンに深い陰影を刻む知的な演技へと昇華された。彼の足跡を辿れば、演劇、映画、そしてナレーションといった多岐にわたる表現領域を、自由闊達に行き来してきた軌跡が見て取れる。その真髄は、役柄の深層にある滑稽さと哀愁を同時に引き出す、極めて高度な洞察力にあると言えよう。キャリアを通じて培われたその表現力は、作品に確固たるリアリティと、時として幻想的な違和感をもたらす。出演作において彼が果たす役割は、物語の均衡を保つ重石であり、同時に観客の視線を惹きつける特異点でもある。膨大な経験に裏打ちされた盤石な安定感と、常に新しい色を添える実験精神の融合こそが、彼を日本映像界にとって不可欠な「知宝」たらしめている。どのような場面にあっても、彼の佇まいからは文化的な芳醇さが漂い、作品全体の質を一段階引き上げる無言の説得力が宿っている。時代の空気を読み解き、役の本質を射抜くその確かな審美眼は、これからも多くのクリエイターを刺激し続け、物語に深い余韻を刻み込んでいくに違いない。