あらすじ
海を臨む病院に入院して、ディスクジョッキーになったチビでヨワムシな少年。毎日届くリクエスト、病室に響く懐かしいメロディ、個性的な医師や入院患者たちとのゲストトーク...少年のお昼の放送は、病院全体を明るくあたたかな空気で満たしていった。そんな日々も束の間、やがて病状が悪化し、お昼の放送ができなくなってしまう。そして少年は11歳の誕生日に、ある決意をして、街に飛び出した。尽きせぬ想いが、ラジオから聴こえる―海辺の病院で紡がれる、小さなディスクジョッキーの初恋ものがたり。
ISBN: 9784591097243ASIN: 4591097242
作品考察・見どころ
鬼塚忠が描く本作の真髄は、死の影が忍び寄る病棟という閉塞的な空間を、少年の「声」という形のない魔法で鮮やかな色彩へと変容させる点にあります。ラジオの向こう側にいる孤独な魂に寄り添おうとする少年の献身は、単なる美談を超え、限られた時間の中で生を全うする人間の気高さと、言葉が持つ根源的な癒やしの力を鮮烈に突きつけてきます。 文字から溢れ出すメロディと、初恋の切なさが重なり合う情景描写は圧巻です。彼がマイクを通じて届けたのは、誰かの人生を肯定する祈りそのものだったのでしょう。物語の終わりに触れたとき、あなたの心には目に見えない絆の温もりと、今日を精一杯生きる勇気が、静かに、しかし力強く灯るはずです。




































































