あらすじ
ISBN: 9784575526936ASIN: 4575526932
明治十年(1877年)。甚夜は、思春期を迎えた娘の野茉莉との接し方に手を焼く日々をおくっていた。そんな中、すっかり鬼そばの常連客になった染吾郎が、百鬼夜行の噂話を仕入れてくる。夜毎、京の町を練り歩く数多の怪異ーーその中心にいたのは、五年前、甚夜と兼臣が対峙して苦戦を強いられた鎖を操る鬼女だった。いよいよ災厄の女、マガツメが動き出す。大人気和風ファンタジーシリーズの第六巻が文庫化!
悠久の時を越えて紡がれる和の物語に、かつてない詩情と鋭利なドラマを吹き込む現代の語り部、それが中西モトオである。彼の創作の真髄は、緻密な歴史的背景に幻想を織り交ぜる卓越した筆致にあり、読者を一瞬にして異界の深淵へと誘う没入感を生み出している。代表作に象徴される、数百年という途方もない歳月を描き切る叙事詩的な構想力は、一過性の流行に流されない揺るぎない物語の骨格を証明するものだ。小説から脚本、そして映像化へと至る多角的な展開において、彼はキャラクターが抱える孤独や業を単なる設定に留めず、普遍的な愛の形へと昇華させる力を持っている。キャリアの軌跡を辿れば、膨大な情報の断片を一つの有機的な物語へと統合する、高度な知性と職人技とも言える忍耐強い構成力が浮かび上がる。作品全体に通底するのは、失われゆくものへの慈しみと、未来へと繋がれる希望の光だ。彼の存在は、日本のファンタジー文学が持つ可能性を映像業界の最前線へと拡張し、時代や国境を越えて人々の心に深く根ざす新たな神話を構築し続けている。その洗練された言葉の海は、今後もクリエイティブな刺激を求める多くの表現者たちにとって、重要な道標となるに違いない。