長岡弘樹
選考委員圧倒的支持!ミステリーグランプリ2008第61回日本推理作家協会賞短編部門受賞作。
長岡弘樹の真髄は、日常の死角を突く鋭利な観察眼にあります。本作の核は、言葉の裏に潜む吐息や、意図せず漏れ出た真実を拾い上げる緻密な心理描写です。単なる謎解きを超え、登場人物の業や愛着が精緻なロジックと重なり、読者の胸を激しく抉るのです。 他者の声を傍らで聞くという行為が、いかに真実を歪め、あるいは救いをもたらすのか。職務と情愛の狭間で揺れる人々の姿は、静謐ながら圧倒的な余韻を残します。短編という形式で人生の深淵を覗かせる筆致は、まさに至高のミステリー体験を約束してくれます。