あらすじ
犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。 何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで探偵事務所を開いた。この事務所〈紺屋S&R〉が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。……それなのに、開業するや否や舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかもこのふたつは、調査の過程でなぜか微妙にクロスして――いったいこの事件の全体像とは? 青春ミステリの旗手が新境地に挑んで喝采を浴びた私立探偵小説!
ISBN: 9784488451042ASIN: 4488451047
作品考察・見どころ
米澤穂信が放つ本作の真髄は、犬捜しという長閑な看板の裏に潜む、冷徹なまでの真実の重みにあります。理想と現実の狭間に立つ探偵の眼差しを通し、日常の裂け目から溢れ出す人間の業や過去を、静謐かつ鋭い筆致で描き出します。軽妙なタイトルを裏切る重厚なドラマは、ミステリとしての快感を超え、読者の倫理観を激しく揺さぶるのです。 二つの依頼が残酷に交錯する瞬間の衝撃は、まさに著者の真骨頂。緻密な伏線が回収されるたびに、青春の終わりを告げるような特有の苦みが胸に広がります。単なる謎解きに留まらない、人間の深淵を覗き込む圧倒的なリアリティ。ページをめくるほどに暴かれる、残酷で美しい世界をぜひその身で体感してください。