相沢沙呼
小袖は読書が好きなおとなしい高校生。法事で祖父のもとを訪ねた際に、従妹から奇妙な質問をされる。「死んだ人から、手紙って来ると思う?」祖父宛に最近届いた手紙は不可解な内容だったが、六年前に亡くなった祖母が昔に書いたもののようだ。それがなぜいまごろになって?誰かの悪戯なの?思い悩んだ小袖は、その手紙の謎をある人物に話すことに...。表題作をはじめ、揺れ動く少女たちの心理を巧みに描いた、鮎川賞作家の最新短編集。
相沢沙呼の筆致は、まるで淡雪のように繊細で、少女たちの揺れる心の機微を鮮烈に掬い上げています。本作は単なる謎解きではなく、言葉にできなかった想いや、時を超えて届く感情の「重力」を描き切った傑作です。不可解な手紙に秘められた真実を追ううちに、読者は誰しもが抱える喪失感と、その奥底にある純粋な愛の正体に直面することでしょう。 著者の真骨頂である、鋭利さと慈しみが同居した文体は、静謐な読書体験の先に鮮やかな感情の爆発を約束します。不確かな記憶と今を繋ぎ止める「赤い糸」の物語は、読了後、あなたの世界の解像度を確実に変えてくれます。少女たちが紡ぐ祈りのような言葉の魔法に、ぜひ深く静かに溺れてみてください。