窪美澄氏らが描くのは、単なる追憶ではなく、女子高生という不確かな季節に特有の、皮膚感覚に訴える繊細な心の揺らぎです。そこには、瑞々しさと同時に存在する、言葉にできない焦燥や、剥き出しの自己愛と嫌悪が入り混じる、あまりに切実な生の声が刻まれています。
本作の魅力は、読み手の記憶に眠る痛みを容赦なく呼び覚ます文学的な鋭利さにあります。著者の持つ人間の業を肯定する眼差しが、青春の神聖さと残酷さを浮き彫りにしています。現役世代には共鳴を、かつて少女だった者には魂の再会をもたらす、極めて純度の高い一冊です。