柚木麻子氏は、女子中学生という残酷で繊細な小宇宙の生態を、鋭い観察眼で描き出す名手です。本作の真骨頂は、教室内の冷徹な階級社会を「政治」と「変革」の物語へと昇華させた点にあります。張り詰めた空気感の中で展開される緊密な心理戦は、文芸作品としての至高の美しさを放っています。
地味な日常を愛する少女たちが、自らの意志で「居場所」を再定義していく姿には、現代を生きる私たちが忘れてしまった泥臭い気高さが宿っています。閉塞感を打破し、他者の評価に縛られない連帯を勝ち取るプロセスは、読者の魂を激しく揺さぶるはずです。これこそ、全ての元・少女たちに捧げられた魂の解放の物語です。