村山由佳が描くのは、背徳感を超えた魂の自浄作用としての性愛です。十二の物語に共通するのは、世俗の道徳では測りきれない孤独を抱えた魂が、肉体を媒介に己の本性と対峙する峻烈な美学。著者の筆致は官能的でありながら、隠された真実を抉り出す鋭さを持ち、読者を甘美な共犯関係へと誘います。
欲望に忠実であることは時に毒となりますが、本作ではその毒こそが救済となります。痛みを伴う悦楽の果てに、主人公たちが自らの不埒さを受け入れ、覚悟を決める瞬間のカタルシス。読み終えた後、あなたは自らの中に眠る剥き出しの感情と再会し、その不完全さを愛おしく感じるはずです。