桜木紫乃
妻を失い、仕事を奪われ、故郷を追われた54歳の経営者。夢を失い、東京に敗れた29歳のタレント。そしてふたりは、出会ってしまった。狂気を孕んでゆく女の純粋は、男を搦めとり、その果てに―。想像の範疇をはるかに超えるこのラストを、あなたは受け止められるか?桜木紫乃、最高傑作。
桜木紫乃が描くのは、人生の底を打った男女が縋り付く、愛という名の猛毒です。喪失を抱えた二人の邂逅は、一見すれば救済のようでありながら、その実、互いの欠落を狂気で埋めていく破滅への序曲に他なりません。著者の乾いた筆致が、逃げ場のない孤独と剥き出しの情念を鮮烈に浮き彫りにします。 本作の白眉は、タイトルを裏切るような純粋さが招く衝撃の終局です。読者は、倫理や理性を超えた地平で、業が到達する極限の風景を突きつけられます。恋愛小説を超え、魂の深淵を覗き込む覚悟を問う、美しくも残酷な人間解体の物語です。
桜木 紫乃 は、日本の小説家、詩人。北海道釧路市生まれ。江別市在住。