あらすじ
高校生のトツ子は、人が「色」で見える。そんなトツ子は、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみと、街の片隅にある古書店で出会った音楽好きの少年・ルイとバンドを組むことに。 トツ子をはじめ、それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた......。バンドの練習場所は、離島の古教会。 音楽で心を通わせていく三人のあいだに、友情とほのかな恋のような感情が生まれ始める。 周りに合わせ過ぎたり、ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり――やがて訪れる学園祭、そして初めてのライブ。会場に集まった観客の前で見せた三人の「色」とは。 思春期の少女たちが向き合う自立と葛藤、恋模様を『映画けいおん』、『映画聲の形』「平家物語』などの山田尚子監督が描く青春群像物語。8月30日の劇場公開に先駆けて、完全ノベライズ化! ©2024「きみの色」製作委員会
ISBN: 9784299050779ASIN: 4299050770
作品考察・見どころ
他人の感情を色として捉えるトツ子の瑞々しい感性を通じ、本作は思春期特有の繊細な揺らぎを鮮烈に描き出します。佐野晶の筆致は、目に見えない心の色彩を詩的な言葉へと昇華させ、周囲に合わせ自分を偽る若者たちの痛切な葛藤を浮き彫りにします。個の輪郭を模索する魂の聖域を丁寧に紡いだ点に、本作の本質的な文学性が宿っています。 山田尚子監督による映像版が光と音で五感を揺さぶるのに対し、小説は内面に深く潜り、言葉にならない機微を補完します。映像で浴びた色の意味をテキストで紐解く作業は、物語の解像度を極限まで高める至福の体験です。両メディアを往復することで、彼らの青春はより立体的に、そして切実に私たちの胸に迫るものとなるでしょう。














